2013年04月17日(水)

4月11日岐阜県蒲田川


岐阜県の蒲田川は、あの有名な北アルプス槍ヶ岳の南面から流れ出しており、やがては神通川となって富山湾に注いでいる。

だから、ここは本州中部山岳地帯ど真ん中というまぎれもない山奥。標高は写真の地点で約800m。渓谷にはこの日も雪が降った。

ところが、この辺りはいわゆる奥飛騨温泉郷で、渓畔のあちこちに温泉が湧く。当然、流れ込む温泉も少なからずで、水生昆虫の羽化シーズンもその影響を大きく受ける。

地元の方によると、今年の3月1日、渓流釣り解禁日にはもうシロハラコカゲロウが本格的に羽化したという。そうなると関東地方の平地渓流よりも2〜3週間も羽化シーズンが早いということになる。

この日、そのシロハラはチラホラの羽化模様だったけれども、その代わりに、フタバコカゲロウやトビイロコカゲロウが多く羽化していた。他には、ウルマーシマトビケラがチラホラと飛来。目を引いたのは、フタスジクサカワゲラ。このカワゲラが羽化してくれば、その川はいよいよ初夏の顔ぶれが見えてきたということになる。だが、11日朝8時の気温は3℃・・・寒かった。




2012年12月18日(火)

11月25日岩手県大槌川


民話などでよく知られた「遠野」に近い山地から流れ出し、太平洋に注ぐ大槌川。その下流域にサケが遡上していると聞いて行ってみた。
この大槌川下流域は、湧水の多い地域で、被災した市街地の中にも湧水源がいくつもあったという。
しかし、東日本大震災による津波と地盤沈下でその湧水流の水生生物はその後どうしているだろう。現地に来て聞くと、その湧水流には本州では珍しい、イトヨの生息地があり、しかも淡水域だけで一生を送る陸封型イトヨがいるという。ただ、生息していた湧水流も、津波の海水に呑み込まれてしまった。
だが、うれしいことに教えられた流れを覗くと、いくつかの群れが直ぐに見られた。その魚体を見ると、2〜3センチぐらいの小型魚と6センチを越えるような個体も一緒に泳いでいた。どうやら一年で産卵して一生を終えるのが多いといわれているけれども例外も少なくないようだ。
驚いたことに、そのイトヨウオッチングをしていた小川にも、サケが遡上しており、ウグイやヤマメやら諸々の魚種豊富なこと。この流程1キロもないようなまさに細流なのに生き物はずいぶんと賑やかで。手軽な自然観察ポイントとして素晴らしいと思った。
※イトヨは、最大でも10センチぐらいの小型魚で、降海型と陸封型がいる。北半球の亜寒帯(冷水域)に生息しており、オスが、産卵地として水草などを集めてトンネル状の巣を作ることで有名。



2012年10月16日(火)

秋のカゲロウ


栃木県鬼怒川上流にある川治温泉は、渓流を見ながら入れる立ち寄り露天風呂「薬師の湯」で有名。また、その渓畔には無料の足湯まである。

この川治温泉街付近の男鹿川や鬼怒川は、キャッチアンドリリース(釣った魚を殺さないで放流する)釣り場になっており、特別に魚影が濃い。本来なら10月は、ヤマメやイワナなどの渓流魚は禁漁期である。しかし、10月末まではニジマスに限って釣りが出来る。

その昼過ぎ、ふと岸際の淀みを見ると、妙な物体が水面を漂っていた(矢印)

これは、カゲロウが水面で羽化した後の脱皮殻。その殻を拡大してよく見ると、腹部側面にあるエラが「人」の字状になっている。これはトビイロカゲロウの仲間にある特徴。そして、腹部背面にある斑紋を見ると、秋だけに羽化するウェストントビイロカゲロウだとわかった。

日本にいるこの仲間の普通種としては、春に羽化するトゲトビイロカゲロウがいて、初夏に羽化するナミトビイロカゲロウはわりとフライフィッシャーなどにはよく知られている。

このウェストンは、この3種内では一番大きくて山地渓流に生息しており秋だけに羽化する。

この日他には、フタモンコカゲロウやサイドコカゲロウ、ウスバガガンボの羽化も少し見られた。

夕方には大型種チラカゲロウのスピナー(成虫)が飛来してきて、良型ニジマスがライズした。

この105日の水温は、18.4℃




2012年04月29日(日)

4月29日快晴後曇り


静岡県西部を流れる太田川水系吉川。水生昆虫の年間最高レベルのハッチピークにさしかかる季節です。
しかし、渓畔を歩くだけで汗がだらだら流れ、水生昆虫の姿はまったく見えません。水位が10センチ以上高いのは、数日前の雨でしょうか、薄い濁りもある。それでも強い日射しに、水温は15時に18℃にまで急上昇。
その15時頃からやっと薄雲が広がりやや過ごしやすくなってきました。
結局渓畔では、シオヤトンボだけが大きな顔をしてハンティングをしており、流下昆虫を集めるネットにも脱皮殻すら入ってきません。
少し変化が出たのは、17時を過ぎてから。
モンカゲロウとナミトビイロカゲロウの脱皮殻が流下しいよいよ何かが始まりそうな前兆・・・が。まともに観察出来た水生昆虫といえば、セスジミドリカワゲラ成虫、コグサヒメカワゲラ成虫、サツキヒメヒラタカゲロウ成虫だけがそれぞれ一匹ずつフラリと目前に飛来しただけという、まれに見るスローな日になってしまいました。
それでも、オオマダラをチラリと目撃しましたし、モンカゲロウもいよいよハッチシーズンに突入しかかっています。





2011年12月29日(木)

身近な水生生物観察ガイド出版


2011年12月19日に、文一総合出版より「身近な水生生物観察ガイド」を出版しました。
全カラー159ページで、主なテーマは、
1)水の流れと川の関係
2)水生昆虫の体のしくみ
3)おもしろい生態と行動
4)水生昆虫を探す観察する
5)身近な水生生物図鑑
6)川を調べてみる・・・・・その他
水生昆虫撮影法から、水生昆虫を使った魚の釣り方、EPT指数などを使った新しい河川環境調査法まで詳しく扱っています。
書店などで見かけた際には是非お立ち読みなどよろしくお願いします
また、去年出版した「水生生物ハンドブック」も近日電子出版されます。
是非、川辺でご覧下さい。





2011年10月30日(日)

山地渓流のカエル


本州中部の山地渓流には、ナガレヒキガエルという、山地渓流だけに棲み産卵する珍しいヒキガエルがいる・・・といわれている。
そしてつい先日、静岡県西部の山地渓流でついにそのナガレヒキガエルに遭遇・・・?。
もともと本州には、近畿以西に生息するニホンヒキガエルと北海道から本州東北部に生息するアズマヒキガエルがよく知られており、低山地や人家近くの林や藪に出没する。
しかし、実際には人間によって移動されて、今やアズマとニホンの生息域は非常に混乱している。そして、このナガレヒキガエルは、山地渓流にはいたが、特徴的にナガレかどうかの判断はこの写真だけではつかなかった。残念である。
まあ野生生物を飼いたい人がいて、売る人がいて、本来の生息域外へ逃げる逃がす。ゲンジボタルなども、生息地によって発光パターンが違うという興味深い生態があるのに、ホタル観賞イベントのために原産地を無視して移動したり養殖したりということから、発光パターンの混乱が発生している。
さて、カエルといえば、渓流に生息する日本一の美声ガエル、カジカガエルを紹介しておこう。春から夏、渓流の夕暮れに湧いて響くあの美しい鳴き声からは、まったく想像がつかないような地味な姿。すぐそばで鳴いていても、なかなかその姿は見えないカエルである。
もう一種は、ナガレタゴガエル。これはまた世界的に珍しい渓流性アカガエル。春頃に渓流の砂利の中から小さくクィクィというような、とてもカエルとは思えないかわいい鳴き声を聞かせてくれる。だが、その姿を実際に見ることは非常に難しい。