
武蔵水路
この流れは、陸地を掘って人工的に作られた導水路で利根川から荒川へと水を引いている。垂直のコンクリート護岸で水流が非常に早くて近づくのはたいへん危険。だから、立ち入ることのないようにしっかりした柵に囲まれている。
・・・ところが、こんな流れでも面白い現象が起こる。それは、利根川の水とともにこのエリアにいるはずの無いような水生昆虫がここにやって来て、この水路からハッチ(羽化)して橋の柵やら、脇の樹木などにたくさん止まっていること。思いがけない楽々水生昆虫観察ポイントになっている。
写真のトビケラは、「大河川」の平地流に生息するタイプのシマトビケラ、そうそうお目にはかかれません。

初夏の知らせ
4月23日、埼玉県東松山市の荒川水系都幾川です。
平地の小さな川ですがアクセスしやすくて、水生昆虫や水生生物を観察するには最適な流れです。ところが、この日は雨不足で水位が下がっており、いつも見られるオイカワなどがほとんど姿を見せていませんでした。それでも、この写真を撮った14時頃、オオマダラカゲロウの羽化があって2頭の亜成虫が水面を流下しているのを双眼鏡で観察出来ました。このタイミングは、かなり早いので、関東でやっと羽化が始まったという様な状況だと思われます。関東地方の渓流では、5月上旬に羽化するのが例年のことです。
平地の小さな川ですがアクセスしやすくて、水生昆虫や水生生物を観察するには最適な流れです。ところが、この日は雨不足で水位が下がっており、いつも見られるオイカワなどがほとんど姿を見せていませんでした。それでも、この写真を撮った14時頃、オオマダラカゲロウの羽化があって2頭の亜成虫が水面を流下しているのを双眼鏡で観察出来ました。このタイミングは、かなり早いので、関東でやっと羽化が始まったという様な状況だと思われます。関東地方の渓流では、5月上旬に羽化するのが例年のことです。
洪水の後

川を甦らせる一手




2016年、新年を迎えて・・・日本の失われた環境を取り戻したい! その一
このままの政治傾向から行き着く先は、原発難民・・・どこへ?
ですが、こっちも重要課題。
水生生物が消え、鉄砲水を吐き出す・・・死の川だらけの日本。
写真は、たまたま長野県千曲川水系の山地流です。流域は、それまで緑豊かで良好な自然環境でした。ところが、川が「改修工事」でコンクリート三面護岸化されたので、水生生物が棲めるような環境が無くなり一部のバクテリアしか棲めない死の川になってしまった。だが、ここで化学的な水質検査をすれば、もちろん「水のきれいな川」と判定される。
しかし、EPTなど生物学的水環境調査手法でチェックすれば、カワゲラやカゲロウ、トビケラなどがまったく見られないことから最低レベル。一般河川ではあり得ないほどの環境の悪化した川だとその実態がハッキリと数値化出来る。
問題は、ここだけではなくて、今や日本中にこんなデッドリバーがいくらでもあること。このような流域では、太古の昔からあった、落ち葉から始まる食物連鎖網が分断されており、日本全体を取り巻く環境悪化の原点となっている。
・・・だからどうした。こんな川がどうなろうと、我々の暮らしに何ら影響が無い・・・と思ってしまうわけですが・・・そうではありません。将来、徐々にその影響が大きくなるからたいへんなのです。
死んだ川の影響とは、まず2点。
・冬から初夏、陸生昆虫の少ない時期に、川からは、大量の水生昆虫が羽化する。 この水生昆虫達をエサにして、河川流域の鳥たちは、繁殖を行う。 ところが、エサがなければ鳥がいなくなり、農業害虫が非常に増える。
・ここに魚はすでにいないが、下流に棲む魚であってもエサが足らなくなり、減少する。魚を食べる鳥や動物、人間が困ることになる。
さらに、水生生物の極端な減少は、落ち葉などから始まる、陸水系食物連鎖網が壊れて、河川からやってくるミネラルなどの栄養補給に頼っている、海洋生物に大きな影響が出てくる。
海洋生物食物連鎖網での、原点的な植物プランクトンの栄養がまず足らなり、動物プランクトンが減って、貝や稚魚のエサがなくなる。 また同時に、河口付近、汽水域の干潟が発生するような水域が大変重要で、海洋生物のふるさと的な存在。
その干潟系を役立たずでムダな水域的判断をして、埋め立て、消去し続けているのが近代日本の現実。有明海でも、大規模にやりました。この影響は、これから長い年月を経てジワジワ増大して、誰でもわかるようになったときにはそれは恐ろしいことになる。
日本人にとって、海産物の無い暮らしなんてあり得るでしょうか。
さらに、治水という面だけでも、三面護岸の雨樋になったような川は、雨水を滝のように一気に押し流すので、下流の平地流では、激増した水を流しきれずにあふれて水害を起こしてしまうことにもなりかねず、ひたすら、高い堤防を作り続けねばならなくなる。
その点、環境先進国では、まず元となる山地流などから能力の低下した河川を直して、流域環境改善、水生生物を増やす研究実践がどんどん行われている。
日本でのように、都市近郊河川で公園のような水路整備を主にしているのとは、方向がかなり違っている。

まっ、とりあえず明日にでも出来ることとしては、コンクリートの川底に石を置くことを提案したい。
これは、安直ながらも即効性で効果は高い。置き石、たった一つでも、数十種、数百頭の水生昆虫が棲める(連中はごく小さい種が多い)
結果、食物連鎖網への影響は顕著・・・となる。
コンクリートの川底は、砂漠と同じ。そこに、石があることで、水生昆虫の棲みかとしてだけでなく、水流に変化が出て稚魚の隠れ場所。水生生物全体のオアシスにもなり得る。
石は、一つだけだと、水流によって流されやすいが、石三つを三角形に置くと安定して、その効果は、三倍以上になる。その石の配置法が海外では真剣に研究されている。
本当は、海外で実際行われて検証されている工法で川を直せば、日本中の川に水生昆虫が増え、川にも海にも魚が勝手に増え、自然環境全体のあるべき姿の見直しにもわかりやすくなるだろう。
まっとりあえずメロンサイズの石一個、コンクリート底や小砂利底に置くだけでも、日本の環境が変わる第一歩となるのですが・・・。
ですが、こっちも重要課題。
水生生物が消え、鉄砲水を吐き出す・・・死の川だらけの日本。
写真は、たまたま長野県千曲川水系の山地流です。流域は、それまで緑豊かで良好な自然環境でした。ところが、川が「改修工事」でコンクリート三面護岸化されたので、水生生物が棲めるような環境が無くなり一部のバクテリアしか棲めない死の川になってしまった。だが、ここで化学的な水質検査をすれば、もちろん「水のきれいな川」と判定される。
しかし、EPTなど生物学的水環境調査手法でチェックすれば、カワゲラやカゲロウ、トビケラなどがまったく見られないことから最低レベル。一般河川ではあり得ないほどの環境の悪化した川だとその実態がハッキリと数値化出来る。
問題は、ここだけではなくて、今や日本中にこんなデッドリバーがいくらでもあること。このような流域では、太古の昔からあった、落ち葉から始まる食物連鎖網が分断されており、日本全体を取り巻く環境悪化の原点となっている。
・・・だからどうした。こんな川がどうなろうと、我々の暮らしに何ら影響が無い・・・と思ってしまうわけですが・・・そうではありません。将来、徐々にその影響が大きくなるからたいへんなのです。
死んだ川の影響とは、まず2点。
・冬から初夏、陸生昆虫の少ない時期に、川からは、大量の水生昆虫が羽化する。 この水生昆虫達をエサにして、河川流域の鳥たちは、繁殖を行う。 ところが、エサがなければ鳥がいなくなり、農業害虫が非常に増える。
・ここに魚はすでにいないが、下流に棲む魚であってもエサが足らなくなり、減少する。魚を食べる鳥や動物、人間が困ることになる。
さらに、水生生物の極端な減少は、落ち葉などから始まる、陸水系食物連鎖網が壊れて、河川からやってくるミネラルなどの栄養補給に頼っている、海洋生物に大きな影響が出てくる。
海洋生物食物連鎖網での、原点的な植物プランクトンの栄養がまず足らなり、動物プランクトンが減って、貝や稚魚のエサがなくなる。 また同時に、河口付近、汽水域の干潟が発生するような水域が大変重要で、海洋生物のふるさと的な存在。
その干潟系を役立たずでムダな水域的判断をして、埋め立て、消去し続けているのが近代日本の現実。有明海でも、大規模にやりました。この影響は、これから長い年月を経てジワジワ増大して、誰でもわかるようになったときにはそれは恐ろしいことになる。
日本人にとって、海産物の無い暮らしなんてあり得るでしょうか。
さらに、治水という面だけでも、三面護岸の雨樋になったような川は、雨水を滝のように一気に押し流すので、下流の平地流では、激増した水を流しきれずにあふれて水害を起こしてしまうことにもなりかねず、ひたすら、高い堤防を作り続けねばならなくなる。
その点、環境先進国では、まず元となる山地流などから能力の低下した河川を直して、流域環境改善、水生生物を増やす研究実践がどんどん行われている。
日本でのように、都市近郊河川で公園のような水路整備を主にしているのとは、方向がかなり違っている。

コンクリートの川底は、砂漠と同じ。そこに、石があることで、水生昆虫の棲みかとしてだけでなく、水流に変化が出て稚魚の隠れ場所。水生生物全体のオアシスにもなり得る。
石は、一つだけだと、水流によって流されやすいが、石三つを三角形に置くと安定して、その効果は、三倍以上になる。その石の配置法が海外では真剣に研究されている。
本当は、海外で実際行われて検証されている工法で川を直せば、日本中の川に水生昆虫が増え、川にも海にも魚が勝手に増え、自然環境全体のあるべき姿の見直しにもわかりやすくなるだろう。
まっとりあえずメロンサイズの石一個、コンクリート底や小砂利底に置くだけでも、日本の環境が変わる第一歩となるのですが・・・。
1月21日の川
いよいよ寒さが身にしみるのですが。埼玉県皆野町を流れている荒川です。天気予想で、風が弱いというので出かけてきました。11時50分に到着。さっそく水温を測ってみると「ウヘッ」2.1℃。ウェイダー(大長靴)を履いているとはいえ、川に立ち込んで昆虫採集などをするのは楽ではありません。その12時ごろからドリフター(流下昆虫)を採集してみると、わずか10分ぐらいで、驚くほど大量のユスリカがネットに入った。
具体的にいうと、ユスリカの羽化したばかりの成虫や蛹、羽化した後の抜け殻など。これらが水面直下をビッシリと流れているのです。採集ネットの幅は、たった20センチ。それでこれほど入るのですから、川幅30メートルもある流れにどれほどのユスリカ系ドリフターが流下しているかと思うと・・・。陸生昆虫が、冬眠したり卵で越冬しているころ、川の中では、もう水生昆虫のスーパー羽化シーズンが始まっているのです。しかも、冬の最も低温になる頃には、より大型のユスリカが羽化をしてくるし、冬にしか羽化しないクロカワゲラの仲間も羽化シーズンに入って川は賑やかになります。この荒川では、ニジマス釣りに関しては、入漁券さえ買えば一年中釣りが出来る。特に、この皆野町を流れているエリアには、秩父漁協によってルアーフライ専用C&R区間が設定されていて、大型ニジマスがたくさんいる。ユスリカやクロカワゲラが大量流下する真冬は、激寒ですが釣りの大きなチャンスでもある。

