モンカゲロウの産卵
このところ、夕方頃になると渓流の上空ではモンカゲロウのスウォーミング(群飛現象)がよく観察できる。
初めは、オスが垂直上昇と急降下を繰り返すダンスのような飛び方がみられ、それはやがて、メスが一斉に上流へ向かって移動する遡上飛行にかわる。上流の産卵地にたどり着いたメスは、産卵地付近を周回飛行しながらタイミングをはかり、あるときフワリと岸際のヒタヒタするような浅い流れに着水して産卵をする。
この産卵風景の観察は、刻々と暗くなることもあり、そのポイントを察知するのがなかなか難しい。産卵後のメスはすぐに弱って流れに落ちる。
最大で25ミリぐらいにもなるモンカゲロウは、日本では最大種のカゲロウ。
温暖地では、4月から羽化シーズンに入り、北海道では7月上旬頃まで羽化が見られる。関東地方の平地渓流から山地渓流では、ゴールデンウィーク頃から5月いっぱい羽化が見られる。
謎の二枚貝に遭遇
10月のことです。埼玉県羽生市の利根川へ行ってみました。利根川下流域は、川へ近づく道がよくわからないのでちょっと下調べのつもり。ウロウロしているうちに、なんとか流れまで20メートルぐらいまで車を持って行くことが出来・・・しかし、見渡す限りあまりにフラットで淀んだような平瀬ばかり。これでは水生昆虫の調査には不向きなポイントばかり。
川底の状態も、踏み固めたような砂利で水生昆虫には良くない。一応ネットを入れてみると、ミジカオフタバコカゲロウ、サイドコカゲロウ、シロタニガワカゲロウなどがいる。そこで目を引いたのは、淀みを好むヒメウスバコカゲロウ。しかもこのヒメウスバは、今まで見たことのない斑紋。まあそもそもヒメウスバは、ほとんどがまだ未研究で、名前もまったくついていないし、何種いるかも明らかではない。
・・・とみれば、ネットの中に黄色い二枚貝がいくつか入っている。殻幅4ミリほどしかない若い稚貝だ。
初めて実物に出会ったが、どうやら、近頃話題のタイワンシジミに特徴が似ている。このシジミは、環境省から、「要注意外来生物」として情報が出ている困ったヤツ。
中国などから輸入されたのが、日本各地に逃げ出してかなり繁殖しているらしい。水の汚れも河川環境も一切かまわず平気。あらゆる淡水域で繁殖して、在来種のマシジミを抹殺してしまうらしい。なにせ、雌雄同体で精子を水中に放出して、それを吸い込んだマシジミが産む稚貝はすべてタイワンになってしまうというから恐ろしい。
その後、ヒメウスバは我が家の水槽で羽化して、淡ライムグリーン系のきれいなダン(亜成虫)になった。
4月15〜17日栃木県日光市川治温泉男鹿川C&R区間
4月15〜17日栃木県日光市川治温泉男鹿川C&R区間。栃木県は、4月14日の午後より雨が降り出し。私がいた、鬼怒川沿いの山間部では、嵐のような大雨となった。当然そうなると一般渓流ではかなりの増水となった。
そこで、増水に強いダム下テイルウォーターの男鹿川C&R区間に行ってみた。すると流れはほとんど平水で、濁りも無かった。
早速、渓流沿いの遊歩道へ降りてみると・・・なんと、そこにはバコバコと続くランライズ。
午前10時のことだった。それが昼近くなると、足下の周囲から中型のカゲロウがバラバラと湧くように飛び出して・・・マエグロヒメフタオカゲロウのハッチが始まった。
渓谷に春の到来を告げるビジュアルサインのマーチブラウン(4月ですが・・・)メイフライだ。
だが、流れの中は別世界。シロハラコカゲロウとトゲトビイロカゲロウの両水面羽化キャラクターのダブり・・・とそこへ、風が吹き出してノックダウンが発生。マエグロドリフターが加わった三つ巴状態。まったく面白い季節だ。
なお。このC&R区間は、今期から大型ニジマスをメインにした釣り場に変貌しており、非常に楽しみな川になった。そして、この流れを管理している藤原町漁協のメンバーと会談の機会があり、刈田は、水生昆虫そしてライズを意識した「最高に面白いC&Rリバー」へ向けた協力をすることになり、C&R区間特別顧問担当になりました。
荒川(埼玉県)のスウォーミングとドリフター
私の場合、土日祝日は川が混むのでお休みにして出かけない。それが日中吹いていた風も弱まり、なにやらいい感じなので最寄りの荒川までウォーキングしてみた。家から、最短コースをたどり急ぎ足で歩くと約35分。荒川河川敷の麦畑に到着。
さらに流れを見ようと、麦畑を突っ切ってヨシ原に向かう。すると突然、ワンワンと乱れ飛ぶ羽虫の巨大な群れに遭遇。午後4時30分。
一瞬ユスリカかと思った。だがサイズがやや大きく、しかも脚が長い。どうもガガンボらしい。そこで携帯用折り畳みネットを振り回す。たった一振りで何十匹も入る。これほど楽な昆虫採集もない。ウスバガガンボだった。これは、流水性のガガンボでこの時期昼前後に羽化し、夕方水際に集合して産卵行動が見られる。その産卵直前のスウォーミング(交尾する為にある特定の空間に集合して群れ飛ぶ現象)にであったのだ。
それから、荒川の水辺に降りる。ところが、こっちにはまるで水生昆虫の気配はない・・・
しばらく流れをチェックしていると、やっとヒラタカゲロウの仲間らしい羽化失敗個体が流れを漂っているのを発見。手に取ってみれば、ソラックス(胸部)の特徴からサツキヒメヒラタカゲロウ。このカゲロウは、サツキというくらいで初夏に羽化シーズンを迎える。ところが、日当りの良い流れや、暖地では4月上旬から羽化することがあり、紀伊半島南端の流れでは、12月に羽化していた。羽化シーズンの研究もなかなか難しい。
3月18日栃木県今市市大谷川
3月18日栃木県大谷川日中はポカポカと暖かく、朝9時に7℃だった水温は昼過ぎには13℃に達した。
河原にいても、すっかり春の陽気でつい眠くなるほど・・・・ドリフターが非常に少なかった。そのためライズもあっちへこっちへとヤマメが探しまわって拾い食いするような状況。
ハッチの主体は、ウスバガガンボにユスリカ。ここではまだコカゲロウ系の動きはまったく見えない。その代わりに、ヤマトビケラがもうハッチし始めていた。そこで川の中を覗いてみるとヤマトビケラのケースがビッシリと底石についていた。大量に生息しているのだ。このヤマトビは、ハッチがあればスイミングピューパの釣りとなり、独特の非常に面白いものがある。ここのヤマメは、サイズ的にいまいちだったが非常にきれいで、そこらの成魚放流ものとはまるで違っていた。
シロハラハッチ近し!!
3月16日。午後から近くの川へ、飼育用ニンフの採集に行ってみた。ここは、埼玉県荒川水系都幾川。川としては平地流でヤマメの生息域よりも下流。ここは、水源が低山地にあり、気候が春めいてくると、すぐに水温が上がる。つまり、一般渓流の先触れ的にハッチ状況がわかる。もともとこの時期は、これからの羽化シーズンを控え、川の中は一年でも最も多種多様に水生昆虫が観察出来る頃なのだ・・・・だが、最近の川は油断ならない、工事や人為的水質の急変などから水生昆虫激減なんてこともことも珍しくはない。
・・・などと心配しながら、川にネット入れる・・大丈夫だった。シロハラコカゲロウ、オオマダラカゲロウ、オオクママダラカゲロウ、ウスバガガンボ、オニヒメタニガワカゲロウ、オオヤマカワゲラその他。ぞろぞろと入って来た。
特に、シロハラコカゲロウは、ウイングパッド(翅芽)つまり、成虫になったときに翅になる部分がすでに濃褐色に変化しており羽化間近いことがわかる。いよいよ、ハッチシーズンが始まる。急げ渓へ。
3月13日栃木県塩谷郡塩谷町那珂川水系荒川C&R区間
3月13日栃木県那珂川水系荒川C&R区間、天候は、晴れのち曇り一時雨。10時に現地到着。お目当てのポイントには、すでに3人の先行者。その様子・・・ライズは、数分間見渡していてやっと一度ぐらい。やむなく、ほかの空いているポイントを探して下流へ。
下流へ向かうと、意外に人が少なくずっと下に一人だけ。(ひょっとして川の調子が良くないのか?)
ひとまず手頃な平瀬へネットをセット。
ドリフターは、ユスリカベースの展開が、かなり少ないまま経過。
それでも、11時を過ぎるとややドリフターに変化がでた。ウスバガガンボ・ブユがハッチし、オオクママダラカゲロウもハッチがあったようでシャックがネットに入った。
13時になってもコカゲロウ系はまったく姿を見せず・・・そこへ、突然原因不明の濁りまで入って来て・・・一旦撤収して車に乗った。
ところが、その濁りが幸いして、川には誰もいなくなったことが判明、上流のプールへ降りてみるとライズを発見!・・・。
結局、ドリフターの非常に少ない日で、ライズフリークとしては、物足りない一日だった。ただ、昼から夕方にかけて、極小ブラックカディスのハッチとスペント流下があった。これは、非常に珍しい種で生態も特殊・・・これは、かなりの手強い曲者出現と言わざるを得ない、面白くなってきました。日中の最高水温は8.5℃でした。
プールでミッジング
12月9日。加須はなさき公園(埼玉県加須市)のプールへ。もちろん泳ぐわけじゃない。ここは冬になるとトラウトのフライ・ルアーC&R釣り場になっており。しかも、入場料が4時間1200円と格安なのに40センチオーバーがゾロゾロ。
ただ問題はこのコンクリートプールという素敵でない風景・・・だが。こんな無味乾燥コンクリート池にも、ユスリカが生息している。
というわけで、例年のごとくユスリカの生態観察?に入場。
・・・と驚いたことに、そのユスリカがドンドンハッチしており、写真のように大量のユスリカピューパが捕食されていた。(サンプルの一部)。こんな人工的な環境でも、ユスリカはたくましく生息し羽化しようとピューパが浮上し、マスがそれをバクバク捕食している。
捕食されているピューパは、体長4〜5mm。他に羽化した後のシャックを多く捕食しているマスもいる。この場合#22〜24ぐらいのミッジピューパがジャストマッチのフライということになる・・・しかし、ここでそこまでマッチさせると、大量のマスが入っているのでフライを呑まれたりして、厄介なことが多々発生する。むしろ#18〜16ぐらいとちょっとハズしたぐらいのフライサイズの方がフライフィッシングを楽しめるだろう。
釣り方としては、水面直下から、水面下60センチぐらいに、ミッジピューパやシャックをユラユラとサスペンド。もちろんフワフワやコロコロフライでもヒットする。けれども、ここで出来るミッジングメソッドは、世界共通。どこへ行っても通用するわけ。いいトレーニングになるはず。
このオフシーズンに、我が家からたった30分。本格的ミッジングが楽しめる貴重な釣り場健在である。
11月天竜川C&R区間スタート
2008年も天竜川秋葉ダム下流にて、11月1日より4ヶ月間限定のルアー・フライ専用区と同区内C&R区間がスタート。そこで早速郷里に戻り、5日から出没しています。
写真は、6日の中島地区。このところここより下流の鮎釣地区では、ダムからの放水が続いており、水位が高く釣りはやや難しい状況。
だがこの中島では、その影響もなく、むしろ例年より水の透明度が高いためライズハンティングへの期待はかなり大きいと判断している。
現在水温は、やや高めの16℃前後。ドリフターは、フタバコカゲロウが流下量トップで、次いでサイドコカゲロウがトップに迫る勢い、まだ少ないのはネイブルコカゲロウ。ウスバガガンボも出ていますが、交尾や産卵にやってくるアダルトの方が目立っている。
肝心のニジマスは、まだ放流直後ながら、ライズも見え始めており、さあこれからというところ。夕方には、エルモンもチラチラ見えており、日並みによっては・・・というところ。
7月18日高原の水生昆虫。桂川(山梨県忍野村、標高940m)
7月18日、高原の水生昆虫。桂川(山梨県忍野村、標高940m)ここは、今も水温が12℃前後と非常に冷たく、水生昆虫のハッチ(羽化)が日中から見られるという穴場です。
この日の水生昆虫は、日中マルツツトビケラ、ナミトビイロコカゲロウ、コカゲロウ数種
。陽が少し傾けば、フタスジモンカゲロウ、アカマダラカゲロウ。そして18時30分を過ぎれば、クシゲマダラカゲロウ、ヨシノマダラカゲロウが羽化していました。
イブニングのピークとなる19時過ぎには、各種カゲロウのスピナーも混じって流れのライズはバコバコと激しく大変なことになり、非常に面白い状況。
避暑とライズを狙うフライフィッシングなら忍野村桂川がお勧めです。
ヒットフライは、日中ならブッシュカバーでオドリバエ、フライングアント、デプテラなど。午後の後半からは、SSイマージャーで、シロハラからアカマダラのハッチ系ドリフターに対応。イブニングの初期には、まだSSイマージャー反応が遅いと感じたら即キャプダン#16にスイッチ。そして真っ暗になる頃から、クシゲのスピナーがドッと流下しました。また、日によってはマルツツのスペントアダルトが流下してフライフィッシングを面白くしている・・・が、話が長くなるので、マルツツの件は別の機会としましょう。
6月27日利根川
6月27日群馬県前橋市内利根川。18時から、右岸の岸辺を歩く。流れは、前日の雨による影響がまだ残っており、軽いササ濁り。左岸には長竿を振るヤマメ狙いのエサ釣り師が5人も並んでおり、その間を縫ってルアーをキャストする姿も見える。
もちろんこれは肉眼で見たわけじゃなく。水生昆虫の動きを見るために使った双眼鏡で、たまたま見えた。おまけにそのルアーマンが、ヒットさせたらしい大型ヤマメをぶら下げて歩くのも見えた(うらやましい)。
ところが、目的の水生昆虫はどうも良くない。19:00を過ぎれば、いつも動きを見せる水生昆虫がまったく姿を見せない。
期待していたライズなどもまったく見えない。そして、19:30になっても、飛来昆虫はほとんど皆無。
あの利根川で、これほど虫が少ないとは・・・そこで、真っ暗になってから
ライトトラップを仕掛けてみた。
私が使うのはハンディな小規模灯火採集装置ですが、水生昆虫の亜成虫と成虫、集光性のある陸生昆虫が良く集まってきます。メリットは、これによってその現場での、水生昆虫の羽化や成虫の状態がわかるわけです。またタニガワカゲロウやマダラカゲロウ成虫などはボール状の卵塊を抱えたまま飛んで来たりして勉強になることは多い。
ライト点灯後直ぐに来たのは、コガタシマトビケラ×3、そしてクダトビケラが×10以上。それから、ヤマトビケラ、ウルマーシマトビケラ。ヒゲナガカワトビケラ、ヒメヒラタカゲロウメスダン、フタバコカゲロウメスダンそれから、体長2〜3mmのユスリカ数十匹・・・実をいうと、これは記録的非常に集まりが悪い。カゲロウ類は、2種2匹のみ。コガタシマ以外のトビケラはいずれも1匹ずつ。カワゲラゼロ。
「大丈夫かぁ?利根川」
たまたま日並みが悪くて、虫が出てなかっただけなら良いのですが・・・。川の健康状態をトータルで教えてくれるのは水生昆虫だけなのである。
鬼怒川6月25日
鬼怒川(栃木県塩谷町)左岸。朝8時から川に入る。暗い曇り空に時々小雨もじっとりと降ってくる。水温は11.8℃。
水温、天候どれをとっても、素晴らしい好条件。それなのに、水生昆虫はまったく姿を見せない。
仕方なく昼からは、車で20分ほど東へ走った荒川(那珂川水系)へ移動。
ところが、ここでも岸辺や水面にまるで虫の気配がない。よほど日並みの悪い日だったようだ。これまでなら、ポイントごとに立ち込んでいた釣り人もまったく誰もいない。寂しい限りで・・・ところが、悪状況で人が来ないと逆に良いことも起こる。それまで隠れていたモンスターが余裕で姿を現し、勝負することが出来た。
そして17時から、また鬼怒川へ。ところが、そうそう良いことは無く、エラブタマダラカゲロウとアカマダラカゲロウがホンの一瞬少量羽化しただけで、暗くなってしまった。
まあ、水生昆虫の羽化というものは、大雨嵐や増水だと確実にダメだし、このような絶好の天候でもダメという日もある。天気と虫の都合だけは手の打ちようがない。
また出直しです。
鬼怒川6月13日
6月13日栃木県塩谷町の鬼怒川左岸。なが〜く続いていた増水もやっと落ち着いてきて、水の透明度も上がった。
ここは、水温が低いため関東の平地渓流としては、水生昆虫の羽化シーズンがもっとも遅れて進行するところ。まさにこの写真を撮った頃もちょうどモンカゲロウのハッチがチラホラ見えています。約1ヶ月も遅い感じ。水温を測ってみると、11.7℃。
3日前の利根川前橋では、ほぼ同時刻同天候で水温が17℃を超えていた。水温が5℃も違うというのは、水生昆虫にとってたいへん大きな生息環境の違いといえるだろう。
ここでは、ほかにエラブタマダラカゲロウ、アカマダラカゲロウが多く羽化しており、量は少ないもののチェルノバマダラカゲロウ、オオマダラカゲロウの姿も見られた。
だが、ふと足元のヨシを見てギョッ!巨大昆虫・・・タイリククロスジヘビトンボ。全長で55mmもあった。
2008年1月天竜川にユスリカがハッチ
2008年1月15〜16日は、天竜川(静岡県浜松市)C&R区間中島でドリフターチェック(流下水生昆虫調査)とフライフィッシング。流れは、相変わらずダムの影響でササ濁り。水温は、6.2から6.5℃ぐらい。
ハッチ状況は、昼前から16時頃までユスリカがメイン。
幅25cmのドリフター採集ネットには、30分で目算100以上というユスリカの成虫がどんどん入った。他には、出始めのクロカワゲラアダルトやそろそろ終わりのネイブルコカゲロウのハッチも混じっています。
これだけ、ユスリカの流下があれば、ニジマスもライズしそうなもの。ところが、なぜかニジマスの動きが悪い。ライズは非常に希で、ニンフやウエットフライを流すフライフィッシャーもなかなか苦戦しているようでした。
まあ、それもそのはずで、写真のトラウトは、魚体に似合わずユスリカのピューパだけしか捕食していませんでした。大きなフライや動きのあるフライにはまったく関心を示さなくなっているようす。これからしばらくは、ユスリカピューパの釣り、ミッジングの研究に面白そうです。
宮城県大川の流下採集9月25日
渓流釣りシーズンも最後ということで、宮城県山形県をひとまわりしてきました。9月25日に入ったのは、宮城県気仙沼の大川。その通称「新月渓谷」にはキャッチアンドリリースエリアがある。ここで、早朝6時30分から真っ暗になる午後6時まで流下採集を行った。
早朝から天候は晴れ。
この川での9月の流下採集は始めてということで何が来るかと期待は大きい。
しかし、先の台風系大雨の影響はここでも大きかったようで水生昆虫の姿は非常に少ない。実際、鉄橋の護岸には大増水の痕跡がハッキリ。どうしても、大増水の後は、水生昆虫が激減してしまう。そんなわけで、ハッチ系の流下で目立ったのはヨシノコカゲロウぐらい、トビケラもカワゲラもまるで見られなかったのは残念。その代わり、オニグルミが次々と流下してきて苦笑。
水温は16℃からスタートして最高は午後2時30分に19℃を越えた。現地は、見たところ山地渓流なのだが、上流は、開けた地形で水田なども多くあり晴れると日照によって水温がかなり上昇してしまう。
結局、この水系は一日で終了。そのまま夜に走って一迫川へ向かった。
ビオトープ9月15日
9月15日関東地方の渓流は、まだ台風の影響があり水生昆虫ウォッチャーにはあまりよい状況ではありません。
我が家のビオトープは、台風の影響もなく、季節がどんどん進行しております。
期待した稲は、あまり実が入らず、いまだペチャンコのが多くガッカリです。もう周囲の田んぼでは稲刈りシーズン真っ盛り。多農薬、化学肥料には負けたくかなったのですが残念です。
その代わり、ヒシの根元には、実が大きく生長していました。
てっきり、この実は、水底に沈んでから大きくなるものと勝手に思いこんでいたのでビックリです。ヒシの実はおいしいらしいので、熟すのが楽しみです。
そして最近、庭先を黄色い小さなイトトンボがよく飛びまわっており不思議に思っておりましたら、なんとビオトープから羽化してました。
体長4cmぐらいで、「キイトトンボ」という種。私がよく行く渓流ではまったく見かけることはありません。
図鑑には主な生息地が浅い池と書かれており、規模の小さなビオトープはもっともこのトンボには適した環境なのかも知れません。そのかわり、このトンボ達の成長には、たくさんのメダカの仔が捕食されたかと思います。でも、そんなことはまったくそぶりにも見せず、メダカたちは元気に群れております。
冬の川でもオイカワがライズ
ここは、埼玉県東松山市の都幾川。荒川水系です。久しぶりに来てみると、この下流の瀬では、地元の方々が、ギンナンの実を洗う?というか例の異臭を放つ果肉の腐らせたヤツから種を取り出す作業をやっていました。
冷たい流れに手を突っ込んで、ギンナンをもみ洗い・・・たいへんな作業。
平瀬で水生昆虫を観察しようと来たのですが、そういうわけで、川中に例の果肉が流れ積もっており断念。
ふと、その上流プールを見ると鏡のような水面に、水紋が広がっています。(矢印)
だが、画像では、ほとんどわからないくらいの極小ライズです。
これはたぶんオイカワ(コイ科の魚。右上ph)あたりが、何かドリフター(流下水生昆虫)を食べているようです。ユスリカが羽化しているのかも知れません。
そこで流れにネットを入れてドリフターをチェックしてみました。(左上ph)
すると、ユスリカは確かに羽化しているようで、3ミリから9ミリほどの脱皮殻。それから、ネイブルコカゲロウも羽化した後の脱皮殻が入っていました。このコカゲロウは、春や秋に羽化する、体長6ミリほどの小さなカゲロウで特に秋の羽化期は長く、関東の平地だと冬にまで見られる。
それから、体長1.5ミリほどのアブラムシも意外に多く流れています。
というわけで、このプールにいるオイカワは、脱皮殻やアブラムシを捕食するためライズしていたのです。
そこで試しに、フライをキャストしてみました・・・。
ところがなかなか釣れません。ライズの水紋が小さかったのは魚体が小さいからのようです。
オイカワの、フライフィッシングでは、魚体が小さいほど釣るのが難しく面白い。一般的なフライフィッシングのようにより大物を狙うという傾向とはちょっと違う(私の好みですが・・・)
結局、#24のユスリカシャックパターンでヒットしたのは、体長6センチのオイカワ。マイレコードとしては、確か4センチだったので、この程度ではまだまだ・・・20分ほどでやっと2匹ヒット。ところがここで急に曇ってきて風が。
こういったプールのライズでは、風が吹いてさざ波が立つとライズはピタッと止んでしまう。
また風のない日に来ましょう。
冬とはいえ、雪のない平地では、オイカワ以外にもカワムツやウグイもライズして遊んでくれます。特にカワムツは口が大きく釣るのはオイカワよりもずっと簡単。お試し下さい。
謎のカゲロウ!さざ波プールに飛来
埼玉県では、公園などにあるプールをオフに釣り場として再利用しているところが数カ所ある。私の、住む鴻巣市に近い加須市にある「はなさき水上公園」でも、ルアーフライ釣り場としてC&Rで釣りが出来る。
まあ、コンクリートの公園プールでフライフィッシング・・・別に興味はなかったのです。
しかし、たまたま、フリーマーケットを開催していたこともありちょっと行ってみました。
そのフリマは、銀杏並木の下でやっておりギンナン落実の香り立つ風情で・・・つい足をプール釣り場に向けてしまいました。
さざ波プールには、少年フライフィッシャーも混じってキャストしており・・・だが、どうしたことか。その雰囲気には妙な暗さが?
水深1m以下の浅いプールは、水がかなり澄んでおり、しかも、かなりの遠浅。より深いポイントにはかなりキャストしないと届かない。
なんと、ダブルハンドのロッドを使う方まで。快晴無風の条件ではかなり難しい釣りを強いられているようでした。
・・・と見れば、このプールにライズがある。信じられないことだが、事実だ。
プールの底には薄く泥が溜まっている場所もある。ユスリカが、生息していることは当然としてもライズしているとちょっと見過ごせません。
4時間で1200円という釣り券を購入してエントリーしてみました。
ニーブーツで、ホンの少々立ち込む。ともあれ、ライズがあるということは、ユスリカのハッチがあるか、それとも何かドリフターがあるはず。
流れがあれば、その流れ出しでチェックすれば、ハッチであれドリフターであれそこでわかる。しかし、ここは完全止水。
足元の水面でチェックするしかありません。
すると・・・緑色のセスジユスリカのアダルトが浮いている。
「これかぁ」
ふと気が付けば、側壁に向かって定位しているマスが何匹もいる。
(弱っている?)
そうじゃなかった。ユスリカが落ちるのを待っている。水際産卵するユスリカがやってくるのだ。
更によく見れば、何とカゲロウのスピナーまでが水面に浮いておりまだピクピクしている。それが何だろう。種類がわかりません。見たことのないカゲロウです。
頭部の独特な形状からコカゲロウ科のヒメウスバコカゲロウProcloeonによく似ています。
ただ、マスがたくさんいてライズするので、落ちた昆虫は片っ端から食われてしまいます。
もう待ちきれなくて私もフライをキャスト。新開発のフライフィッシングアイテム、メイウイングに#18のセスジユスリカを結んでいます。
普通のルースニングインディケーターでは、着水の瞬間にマスが逃げるような状況。それだけで釣れなくなっているわけです。
最初にヒットしたマスは、銀色のボディとその斑紋から、まるでヨーロッパで見るようなブラウントラウトでした。普通のニジマスも。幅広でコンディション良く、なかなか鋭いファイトを見せます。オマケに、サケのようなサイズのドナルドソンマス?も水面直下のユスリカシャックフライに出てきて・・・。謎のカゲロウは、近隣の小川や池から飛んできているものと思われます。ちょっと追跡してみるつもりです。
天竜川C&R区間2006年11月
11月は3週間も郷里の森町に滞在して、「森の祭り」http://mori-matsuri.la.coocan.jp/を堪能し、それから天竜川C&R区間に通いました。天竜川はまだスタート直後ということで、放流間もないニジマスが、どの程度ドリフターに反応してライズするかというのが気がかりだった。
初日に、最上流のダム下、中島地区で終日ドリフターをチェック。これが予想以上。
昼前からミジカオフタバコカゲロウのハッチが始まり、ウスバガガンボ、ネイブルコカゲロウ、サイドコカゲロウそしてシロハラコカゲロウまでハッチ、午後の後半には、エルモンヒラタカゲロウのスピナーも飛来。
そうなれば、後は日並みで、ドリフターの多い日に当たれば、かなり素晴らしいライズ狙いのフライフィッシングが楽しめそうで期待が高まった・・・。
しかし、釣り人が多いためか、なかなか思ったようにライズしてくれず、かなり、ウロウロ状態。
結局、釣り人のいないところ、いないところと探していくと、かなりの浅場までライズを見つけることが出来ました。
そして、ニジマスだけでなく、ハス、大オイカワまでライズ。
ただ、課題は、サイズ。結局バラした40センチぐらいまでしかまだライズしておらず、大型ニジマスがライズするまでにはもう少し時間が必要なようです。去年のデータから見ると、大きなユスリカがハッチして、ピューパがどんどんドリフターになってくる頃良いライズがあった。ということは、もう少し水温が下がった頃の方がよいのかも知れません。
まあ、いろいろ課題はありますけれども、晩秋から冬期にこんな広々した渓流で、水生昆虫を見ながらライズの釣りが出来るというのは最高でしょう。
寒河江川大井沢6月2日
5月30日より6月2日まで山形県に行って来ました。最初は、秋田県境に近い遊佐町月光川で1日まで、それから寒河江川に回りました。月光川では、冷雨に降られ・・・それでも、モンカゲロウにエラブタマダラ、アカマダラがハッチしていました。
1日に寒河江川にはいると、暑いくらいの晴れた気候に遭遇。やっと一安心で川へ。
しかし、その良い天気が災いして、終わったはずの雪代(雪解け水)が出てきて水温は急低下して増水。出かかっていたオオクママダラカゲロウも引っ込んでしまうような有様。また出直しです。
群馬県神流川C&R区間マエグロハッチ
3月27〜28日は、群馬県神流川C&R区間にてBird Viewの撮影やドリフチェッカーの取材。流れは、渇水気味で川底の付着藻類も分厚くドロっとなっており早く一雨欲しい状況。
その28日は、曇りの天候が幸いしたか、朝9:過ぎからユスリカがハッチして、ヤマメがライズ。
それが10時頃からは、ミズバチもかなり動き出してフライフィッシングは面白くなってきました。
しかも、昼頃には、シロハラコカゲロウのハッチに、マエグロヒメフタオカゲロウがバラバラッと加わり、そこへ、当然のようにナミヒラタまで出てきました。難易度は高いですが、水中羽化ナミヒラタは当然としてもマエグロも予想外に食われており、かなり面白いマッチザドリフターの釣りが楽しめます。我がホームグランドも、いよいよこれから絶好調が期待されます。もっともこれは、水生昆虫の話。
C&R区間下流側は、鵜の食害がひどいという情報でしたが、やはり、去年からのヤマメは姿が見えなくて残念です。大きな石が無く、小砂利ばかりの渓相は鵜に狙われると、魚の隠れ場所がなく全て食われてしまう。河川改修はしても、大きな石や岩を川に残しておいて欲しいと思います。写真のカゲロウは、マエグロヒメフタオカゲロウのメスダン(亜成虫)。
根尾川(岐阜県)
2月21日から延べ6日間も根尾川に行っていました。それというのも、22・23日にはクロカワゲラ幼虫の河川流下現象がかなり発生していたからです。
午前中から午後の前半にかけて、見ている間に次々と流下。
そして、昼頃には、シロハラコカゲロウ、ミジカオフタバコカゲロウまで少量ながらハッチしてきました。
これはいよいよ面白くなるぞ・・と期待が高まったところ。大雨。
増水して濁り、クロカワゲラはまったく姿を消してしまいました。
更に数日現場待機しましたが、結局次の雨が降ったりしたのでついに、現場を離れました。残念です。
ちなみに、根尾川の山地渓流の方は、まだ、クロカワゲラの動きはまるで見えませんでした。遅れ傾向か。
天竜川 2005年12月29日
年末は、28日29日と天竜川秋葉ダム下へ行っていました。両日共に晴れて水温は7℃前後、日中は、昼前から予想以上にユスリカのハッチがあり、体長6ミリぐらいもあるヤマユスリカピューパも流下。特に午後には、ネイブルコカゲロウのハッチもみられた。だが、その割に大型ニジマスの活性が低いので地元の人に聞いてみると、数日前に秋葉ダムからのまとまった放水による増水がありマスが移動したらしい。その後に、ニジマスの放流があったことなどがわかった。
どうもその為に、ドリフターがあってもライズするというような状況にはなっていないようだった。
その放流効果か、大型のニジマスがかなりあちこちに見られるので今後に期待したい・・・ところが、この後私は珍しくひどい風邪を引いてしまい。2006年度のスタートは未だ自宅待機中。
荒川では、日中にユスリカがハッチしています。
このところ、週1〜2日ぐらいの割合で皆野町の荒川に行っています。ここは、現在冬期C&Rニジマス釣り場(この指定は、2006年2月末まで)写真のポイントは、栗谷瀬橋下流。奥に流れているのが本流で、手前の緩流が分流。この分流では、朝10時ごろ(それ以前は未知)から、日没までずっとニジマスのライズが無数に発生。ライズマニアの私にはたまらなく面白いフィールドになっています。ドリフターは、4ミリと6ミリぐらいのユスリカ関連。主にディンプルライズですが、午後には、派手なスプラッシュライズも見られます。
終日常にライズがあるので、楽釣ムードに見えます。けれども、ライズをまともに狙ったら難易度は最高レベル。
止水に近いような澄んだ浅い流れと、連日の教育成果でわずか放流2ヶ月ほどのニジマスなのに信じられないほどフライを見切ってきます。
まあ、いろいろな釣り方はありますが、シーズン前ということでミッジングにこだわって研究してみるのには素晴らしいフィールドだと思います。
天竜川秋葉ダム下流(静岡県)
現在、天竜川の秋葉ダムから下流数kmは冬期ルアー・フライ専用C&R区間になっている。11月18日の昼過ぎ。ダム直下に近い中島地区に到着。(実をいうと今回は、郷里森町に用事がありそのついでに様子を見に来たのだ)
スケールの大きな川に4〜5人の釣り人が散っている。ルアーマンが一人に、あとはフライフィッシャーで皆ニンフィング。
左岸側道路からプールを眺めていると・・・サケのようなマスが浮上・・・スッとまた沈んだ。
これは、明らかにライズ。双眼鏡を取りだしてジッと見守るがそれっきり。
だが、これを見過ごす手はない。急いで周囲を探すと、幸いちかくに入漁券を売っている民家を発見。勢いで年券を購入。
民家のおばあさんは、年券の有効期限が12月末までということでもう残り少ないことをしきりに残念がる。
何やらほほえましい・・・だがそれどころではない。あのライズを・・・。
というわけでもうなりふり構わずライズに直行。ところが50メートルはある川岸を降りてみるとルアーマンがその辺りを狙っていた。
ガックリ・・・だが、少し探すと巨大プールの流れ出しにちいさな水紋が「ぷわ〜」
それチャンス到来と足元の流れからドリフターを探すがほとんど見つからない・・・やっと見つけたのはネイブルコカゲロウの羽化シャック。
しかも、肝心のライズほとんど単発レベル。その辺りにマスがいることだけがわかるといった程度。
まあ、これでは、皆フライを沈めたくなる気持ちがよくわかる。
でも私は例によってライズ専科・・・直後に大問題発生!
なにせ突然、予定外の釣りになったから、ランディングネットがヤマメ用のサイズだった。
ラッキーなことに、川に入った頃から14時頃が、ネイブルコカゲロウ、サイドコカゲロウメインのシロハラコカゲロウ少々のハッチタイムとなったのだ。ハッチは極少でも、マスの活性があがって次々とフライにレインボウが反応。
その捕食物を見ると。やはりハッチが少ないのを反映してネイブルやサイドのシャックメインに、ダムから流れてくる藻類など。
課題は、ドリフターからまともにフライで選ぶと#22となってしまう。ここの幅広ボリュウムたっぷりビッグレインボウを上げるのはちょっとたいへん。一工夫が必要です。
ミズーリリバー
ミズーリリバーを、フライフィッシング的に有名にしているのは、オルターダム下流のテイルウォーターエリアだ。モンタナ州の州都ヘレナからルート15を北上したCraigという村というか小さな集落がその中心となっている。ここにレストランやフライショップ、宿泊施設もある。写真は、そのCraigの下流二つ目の平瀬。ただ平瀬といってもアメリカサイズで、瀬幅200メートル、長さ600メートル以上もある。だから、立ち込みながら写真にとっても、湖なのか川なのかわからないほど。
7月の下旬、この広大な瀬では日中ずっと、至る所でライズがあった。主に45cmアベレージぐらいのレインボウトラウトがライズ。大量のドリフターが流れていたのだ。
この瀬は、メロン大以下の小さな底石が主で一面に水草が生えている。流れは強いが、水深がだいたい1m以下の場所が多く、いいポイントに立ち込むことが出来る。
この日のドリフターは、現地通称PMD(アップルグリーンのマダラカゲロウ)ダン、イマージャーにスピナー。それから、キャリベイティススピナー。シナモンカディス(シマトビケラ)。トライコ。ベイティスなど。
このミズーリリバーは、支流がマジソンにギャラティンというぐらいの大河川。数箇所のダムで取水されてはいるものの、春から初夏の雪解け水で水量が多いと立ち込みは不可能であり、7月中旬以降の釣り場となる。
ともあれ、ライズに対してフライフィッシングをする川としてはとてつもない規模の川であり、水生昆虫やマスの生息量はどちらも川同様に巨大スケール。素晴らしく爽快な川である。
渡良瀬川(足利市)
渡良瀬川(足利市)4月26日川の写真は12:30ごろ。だが、直後に雷雨が来たので一旦退避。
16時頃から流れに入る。19日前に来たときは、ほとんど水生昆虫の羽化がなかった。ところが、この日は立ち込んでみるとヒゲナガカワトビケラの羽化した後のシャックが累々と流れてきていた。さらによく見回すと、岸辺にはシャックの帯が。
そのシャックを手にとってみると、多くは体長4mmぐらいのユスリカで、その中にコカゲロウが混じっている。ごく最近かなりのスーパーハッチがあったのだ。
17時頃から、シロハラに、アカマダラカゲロウ、エルモンヒラタカゲロウなどがハッチ飛来。しかし、量は少なくヤマメのライズも単発のみ。
男鹿川C&R区間
栃木県男鹿川C&R区間、4月24〜25日。水は澄んでいるが雪代水を五十里ダムが放水しているので水位は高い。水温は9.5から10℃ぐらい。ちょうどサクラが満開の季節。
画面に見えるプールには数十匹のヤマメが表層を回遊しており、岸際の岩陰などには良型のイワナも定位している。
ところが、水生昆虫のハッチは非常に少ない。
見かけたのは、オオクママダラカゲロウ、シロハラコカゲロウ、ネイブルコカゲロウ、
ナミヒラタカゲロウ、ウスバガガンボ、ヒラタコエグリトビケラなど。
4月19日群馬県上野村神流川
4月19日群馬県上野村神流川11:30現地着。ちょうど川岸の桜が満開ぐらいの時節。
よく晴れた天候でハッチはどうかと見て回るがまったくその気配はない。
ところが、歩くうちにプールや、そのヒラキでヤマメのライズ。
何を食っているのか超不思議、ドリフターは皆無の状態だ。
すると、弱風が止んだようなタイミングにバラバラッとオナシカワゲラアダルトが飛来して水面に着水。たちまちライズ。ということだった。オナシカワゲラが産卵に来ていたのだ。
この日見かけたハッチは、上流部でのチャイロミヤマタニガワカゲロウのハッチのみ。
4月5日鬼怒川水系東荒川、田川
4月5日。鬼怒川水系の東荒川へ。ここでは、昼前にウスバガガンボのハッチ流下が少しあったが、それ以降まったく
水生昆虫の動きが見えなかった。
そこで、15時から同じく鬼怒川水系の田川へ移動。
この田川で水温を調べると、15:50に14.2℃。
東荒川の水温は、10:00に8℃。15:00に12.3℃。に比べるとずいぶんとこの田川の水温が高いのに驚く。
15:50からドリフターをチェックし始めた。すると、見る間にウルマーシマトビケラの羽化シャックが流下してきた。上流でハッチしているのだ。
しかし、その後もシャックのみの流下で推移。それが変わったのは18時を過ぎてから。
18:00〜18:30に、チェックポイント付近でウルマーシマトビケラがハッチ。
それが、18:30を過ぎるとドリフターは急変。この写真のような事態になった。
ヒゲナガカワトビケラのハッチがかなり派手に起こったのだ。
この田川には、ヤマメ・イワナが生息している。ウグイも多い。
シマトビケラがハッチ
3月25日は、山梨県桂川へ。この日は春めいていたそれまでの数日とは一転して寒い日になってしまいました。
だが、この桂川は、湧水が多くこの日も10:30で気温が7.3℃に対して水温が11.7℃。
そして、11時頃から、シロハラなどのコカゲロウがハッチを始め、さらにフタバコカゲロウなども加わって素晴らしいハッチになった。
そして午後になると、ウルマーシマトビケラが、ハッチしてきて、水面は水生昆虫の乱舞。
と言いたいところですが、冬型の強風が吹いてダンやアダルトはみんな吹き飛ばされていきました。
午後の後半にはウルマーのハッチがメインとなり、久しぶりのウルマー大量ハッチとなった。
写真は、水面羽化中のウルマー。
川底の石裏に固着された石作りの繭から泳ぎだしたピューパ(蛹)は、水面に達すると脱皮してアダルトになる。アダルトは、パタパタしながら川岸に向かって必死に泳ぐ。そんな瞬間です。
ビオトープ実験
この4月、前から気になっていたビオトープ。巨大バットというような形状のプラ舟(924×616×210 2980円 通常セメントをこねるのに使う)を庭に埋め、雨水が流れ込むようにして・・・早い話が簡易池を作ってみた。
その後、8月下旬現在、なんと稲の花が咲いており、このまま行けば、自作のお米が食べられそうです。
もちろん、化学肥料や、消毒は一切しておらず。バッタ数種がうまそうに稲の葉を食べている。もっともそれを狙ってカマキリも出没しており、そのハンティングを見ているとかなり楽しめる。
肥料分としては、最初入れた底土に腐葉土を混ぜただけ。
それから、最初8匹入れたメダカが、あっという間に10倍以上に増え、今や3世代目が育っている。これには感動。
最初以外はエサもやらないで繁殖出来ているのは、ミジンコの存在が大きい。難しそうだった水質維持も、程よい透明度をずっと保っている。
自然の能力というか、エアレーションも、水の浄化装置も無し。ただ、抽水・水生植物が茂っているだけ。
その植物は、稲以外にヒシ、ヒメスイレン、マツモ、フサモ、ショウブその他水田で雑草と呼ばれる植物諸々。
メダカ以外は、スジエビ・ヨシノボリ(両種とも近所の溜め池から)、イトトンボヤゴ、タニシその他が生息している。
とりあえずの難題は、アオミドロ。日々増殖しており、しょっちゅう間引くのが厄介である。
後はフタバカゲロウが産卵に来るのを期待したい。
狩野川にモンカゲロウ羽化
4月18日狩野川。10:30。採集ネットを流れにセット。まだ降ってはいないものの今にも降り出しそうな天候。河原の上空には、まれに見るほどたくさんの鳥が猛スピードで乱飛・・・これはツバメ?いや反転飛行の腰(背の下部)に白色斑が見える。どうやらイワツバメか。
当然この写真にも写っているはず・・だった。だがどうやら雨雲で暗いため、光量不足でカメラのシャッタースピードが遅くなり流れて写らなかった。
そんな有様で、空をボーッと眺めていると上流から風に乗って巨大なカゲロウが飛来。10:47。だが、手にネットはなく捕獲出来ず。見た限りではモンカゲロウ。
11:00までのドリフター(流下生物)は、ヒロアタマナガレトビケラ(ピューパ)、アカマダラカゲロウDun、フタバコカゲロウDun、メイズコカゲロウDunその他、まだ量は少ないが、これからいいハッチが期待できそうだった。
11時を過ぎると、モンカゲロウの脱皮殻が流下し、直後にダン(亜成虫)が流下。さらにコカケロウ系数種がハッチ流下。
ドリフター量は、時を追うようにドンドン増えてきた。
それなのに、流れにヤマメなどの動きはまるで見えない。13時16分ついに雨降り出すも、やっぱりライズ無し。やむなく撤収して上流へ移動。
ハッチ系ドリフターのピーク?に撤収移動という判断ははたして如何なものか・・・。
この後、ビショ濡れ狩野川ドリフチェッカー旅がどうなったかは、5月下旬発売の雑誌「Fly Fisher」第24回ドリフチェッカーに掲載予定。
No.201 水生昆虫とは川虫のこと
かつて、川の早瀬には大石がゴロゴロあって白い波しぶきがはじけ、底なしのような深い大淵もあった。それがどうだ、いつのまにか大石はどこかへ消え、水もろくに流れてこなくなった。小砂利ばかりになった平ッ川に魚はもちろんのこと水生生物全体の顔ぶれはスカスカ。あるのは、「川をきれいにしよう」という看板ばかり。
川の瀬にある石ころ。たかが石ころだ、あろうとなかろうとどうでもいいのか?
そうはいかない、例えば、メロン大の石一つにも数10種、個体数なら数10いや100近い水生昆虫(生物)が棲んでいるのだ。これはもう一つの町であり惑星ともいえるかもしれない。
川といえば、まず魚の話ばかりが出る。しかし、川は、まず水が流れてそこに石があることが重要。この石が大量に積み重なって初めて宇宙空間のような深遠な生態系が構築されるわけだ。水と石がなければ、水生昆虫(生物)が生息出来ず、魚も育たない。
川の潜在的生命力は水だけでなく石にある。ある水生昆虫は、石表面に生える付着藻類を食べ、ある種は流れてきた落葉を食べる。当然、肉食のライオンに匹敵するような恐ろしい捕食生物もおり、ハイエナ役の生物もいる。そう、ちょうどアフリカのサバンナと同じような食物連鎖がこの石一つに存在している。
元をたどれば、大地から生えた樹木の落葉がヒラリと流れに落ちたことから始まる川の食物連鎖。それはやがて海へ至り7つの海を巡り、結局、我々人類の口に帰ってくる。
石たかが石。その石が無くなっている。近年日ごとに川の石が消えていくのはなぜでしょうか。小石や砂ばかりでは、川虫は棲めず、魚の隠れ場所もない。
ちょっと今度の日曜日、川へ行ってみませんか。川に水は流れていますか?石はありますでしょうか?
No.202
カゲロウ幼虫の特徴は、腹部にエラがあること(薄い木の葉状に見えるのがエラ)尾は2本の種も3本の種もいる。写真はウエノヒラタカゲロウ幼虫。
日本各地の山地流から平地渓流の早瀬に生息するヒラタカゲロウ科の幼虫。
体長は最大14mm。
No.205
トビケラの幼虫は、ちょうどミノ虫のように自分で作ったケースに入って暮らす種類も多い。ケースの素材は、落葉から、砂粒、木の枝などが使われその形は種によって様々。写真はコカクツツトビケラ幼虫。
落葉を四角く切ってパッチワークしたケースに入っている。この種も生まれて間もない頃は微少な砂粒でケースを作る時期がある。
ケース長は12mm
No.206
一方、ケースを持たないトビケラの幼虫もおり、特にこのナガレトビケラの仲間は肉食性で巣も作らず這い回って暮らす。写真の幼虫はムナグロナガレトビケラでエメラルドグリーンの体が美しい。
体長は18mm。
No.207
トビケラの成虫は、蛾によく似ている。実際、祖先は同じ仲間から別れたといわれている。しかし、蛾と違ってトビケラの翅には鱗粉はなくて毛が生えている。写真は、ムラサキトビケラ。日本に生息する普通種だが世界最大種だといわれている。
全長44mm。
No.209
カワゲラ幼虫。カワゲラ目の幼虫は、エラがある種もあり、無い種もある。しかし、エラがあっても決してカゲロウのように腹部には無い。エラがある種は、肛門、各肢の付け根、首などにある。エラの形状は、この種ではフサ毛状。他には指状とかもある。尾は必ず2本である。カワゲラ属のカワゲラという名前の幼虫。ちょうどヒラタカゲロウの幼虫を食べようとしている。日本各地の渓流でもっとも普通に見られる中型のカワゲラである。
体長は22mm。
No.215 シロハラコカゲロウ
コカゲロウ科の代表的存在で生息域は広く生息量もずば抜けて多い。この仲間は、平瀬を中心に生息し泳ぎがうまいことが特徴。泳いでいる時はほとんど魚並。腹部側面に並んでいるエラは楕円形の葉状で泳ぐ時に役立っているようだ。生息量が多いということで魚のエサとしても重要。フライフィッシングでも最も気になるカゲロウの一種となっている。体長は8mm前後。
No.216 羽化中のシロハラコカゲロウ
シロハラコカゲロウは、通常水面羽化で亜成虫になる。けれども、羽化中に手頃な石などがあればつかまって水際で羽化を始める柔軟性を持っている。体長8mm前後。春から晩秋まで羽化が見られる。水生昆虫ファイル1-40p