刈田スタディオ カリタ式 KARITA AQUATIC INSECTS LAB
2005年02月01日(火)

石の無い川。命の消えた川。


この写真をここに掲載するのは非常に残念なことです。

私は、ずっと水生昆虫の写真を撮り、また水生昆虫の観察をしてきました。日本各地はもちろん世界各地の川へも行った。そして子供達や一般の人々にも、川の重要さや、水生昆虫の果たす役割など話してきました。

日本の川は、短い流程の中にも凝縮された生物相があり非常に素晴らしい。美しくもある。

ところが、その川の重要さがわからずただの排水路としての利用しか考えていないひどい例が日本にはあります。ここは、とりわけひどい例を写真に撮っておこうと心がけており・・・そしたら、見つけました。

これだけひどい例は、逆になかなかありません。幅9メートルほどのこの川は、底まですべてコンクリートに固められ人が流れに人が近づくことさえ拒否する構造になっています。決して都市河川ではありません。写真に見える人家は、すぐ先でとぎれ上流は数キロ間が水田地帯を流れる平地流、それからは山地渓流になっています。流域に暮らす人家の数も知れたものです

一見、きれいに護岸が完了したように見えるこの川。しかし、石のない流れは棲み着ける生物が限られて、川が自然に持っている、流水の浄化能力が発揮出来ないわけ。つまり、こういう河川改修は川を汚すためにやっていることになる。また、保水や水の浸透もなく洪水に対する備えも下流に悪影響を与えかねません。

また、一目でわかりますが魚の棲む場所もまったくありません。この川は、私が、小さい頃から、オイカワ、カワムツ、フナ、アユなどたくさんの魚を釣ったり川虫を捕ったりした場所。

なんという皮肉でしょうか。私が故郷を留守にしている間に、こんな風になってしまいました。

静岡県の西部。私はこの川の畔で生まれ育った。