刈田スタディオ KARITA AQUATIC INSECTS LAB
2016年05月29日(日)

川を甦らせる一手


コンクリートで固められていなくても、水生生物にとって重要な棲みかである石が砂に埋もれていると、あらゆる水生生物にとって非常に棲みにくい環境になってしまう。 ダムや砂防、床固工や生物への配慮のない様々な河川工事の影響で、このような川底がどこに行っても見られるようになっている。 このような川へ遊びに行っても丸で楽しくないもの。魚も水生昆虫もいないのだ。 けれども、手はある。日本ではまだ見かけないけれども、海外では、水生生物全体の生態系復活のために、石積みシェルター工法が行われている。 つまり、石をピラミッド状や半島状に積むことによって、水流に強弱変化をつけ、魚の付き場、稚魚や様々な水生生物の逃げ場、隠れ場所を石積みで作る。まあ、石を積むだけの簡単な構造だが、現代の川にある問題を大きく改善出来る素晴らしい方法。また、石積みとそこへの通水によってバクテリア諸々が水質を浄化する効率も非常に良くなる。川へ遊びに行ったら、ただ小石を投げるのではなく、大きな石を水中へ積んで遊びましょう。それから、半月もしないうちに、そのシェルターには、ヨシノボリやらスジエビ、様々な水生昆虫が棲み着いているでしょう。 「構造作例サンプル用」に小さく作った石積みシェルターの写真を用意しました。 ピラミッド石積みー長い矢印の水流は流速が上がり、短い矢印のエリアには、逆に流速の遅い巻き返し流が発生する。こうして単純だった流れに流速の変化が発生した。たったこれだけのことでも、それぞれの微妙な環境を好む水生昆虫が棲み着くのが観察出来る。 半島石積みー流れに対して、90度から45度ぐらいに半島状に石を積み、半島の一部はやや低くして越流を作る こうして、流速の早い流れと越流による落ち込み、巻き返しの緩流部を作る 次の機会には、水中カメラか水中観察用箱メガネなどをもって結果を見に行きましょう