刈田スタディオ KARITA AQUATIC INSECTS LAB
2012年10月16日(火)

秋のカゲロウ


栃木県鬼怒川上流にある川治温泉は、渓流を見ながら入れる立ち寄り露天風呂「薬師の湯」で有名。また、その渓畔には無料の足湯まである。

この川治温泉街付近の男鹿川や鬼怒川は、キャッチアンドリリース(釣った魚を殺さないで放流する)釣り場になっており、特別に魚影が濃い。本来なら10月は、ヤマメやイワナなどの渓流魚は禁漁期である。しかし、10月末まではニジマスに限って釣りが出来る。

その昼過ぎ、ふと岸際の淀みを見ると、妙な物体が水面を漂っていた(矢印)

これは、カゲロウが水面で羽化した後の脱皮殻。その殻を拡大してよく見ると、腹部側面にあるエラが「人」の字状になっている。これはトビイロカゲロウの仲間にある特徴。そして、腹部背面にある斑紋を見ると、秋だけに羽化するウェストントビイロカゲロウだとわかった。

日本にいるこの仲間の普通種としては、春に羽化するトゲトビイロカゲロウがいて、初夏に羽化するナミトビイロカゲロウはわりとフライフィッシャーなどにはよく知られている。

このウェストンは、この3種内では一番大きくて山地渓流に生息しており秋だけに羽化する。

この日他には、フタモンコカゲロウやサイドコカゲロウ、ウスバガガンボの羽化も少し見られた。

夕方には大型種チラカゲロウのスピナー(成虫)が飛来してきて、良型ニジマスがライズした。

この105日の水温は、18.4℃