No.201 水生昆虫とは川虫のこと
かつて、川の早瀬には大石がゴロゴロあって白い波しぶきがはじけ、底なしのような深い大淵もあった。それがどうだ、いつのまにか大石はどこかへ消え、水もろくに流れてこなくなった。小砂利ばかりになった平ッ川に魚はもちろんのこと水生生物全体の顔ぶれはスカスカ。あるのは、「川をきれいにしよう」という看板ばかり。
川の瀬にある石ころ。たかが石ころだ、あろうとなかろうとどうでもいいのか?
そうはいかない、例えば、メロン大の石一つにも数10種、個体数なら数10いや100近い水生昆虫(生物)が棲んでいるのだ。これはもう一つの町であり惑星ともいえるかもしれない。
川といえば、まず魚の話ばかりが出る。しかし、川は、まず水が流れてそこに石があることが重要。この石が大量に積み重なって初めて宇宙空間のような深遠な生態系が構築されるわけだ。水と石がなければ、水生昆虫(生物)が生息出来ず、魚も育たない。
川の潜在的生命力は水だけでなく石にある。ある水生昆虫は、石表面に生える付着藻類を食べ、ある種は流れてきた落葉を食べる。当然、肉食のライオンに匹敵するような恐ろしい捕食生物もおり、ハイエナ役の生物もいる。そう、ちょうどアフリカのサバンナと同じような食物連鎖がこの石一つに存在している。
元をたどれば、大地から生えた樹木の落葉がヒラリと流れに落ちたことから始まる川の食物連鎖。それはやがて海へ至り7つの海を巡り、結局、我々人類の口に帰ってくる。
石たかが石。その石が無くなっている。近年日ごとに川の石が消えていくのはなぜでしょうか。小石や砂ばかりでは、川虫は棲めず、魚の隠れ場所もない。
ちょっと今度の日曜日、川へ行ってみませんか。川に水は流れていますか?石はありますでしょうか?