日本の水生昆虫

ユスリカピューパ

写真は、ヤマユスリカのピューパ(蛹)体長6ミリ

この種は、水のきれいな渓流に生息しているユスリカのグループで、主に晩秋から冬、早春にかけて羽化してきます。特に大型種も多く、同科にオオユキユスリカなど、体長9ミリぐらいのピューパもいます。
さて、ここでは、ヤマユスリカの羽化について紹介しましょう。
幼虫は、石の側面下などに、微細な砂粒でチクワ状(トンネル)の巣を作ってその中に棲んでいます。
そして、羽化期が近づくとその中でピューパになり、ある日の日中、ピューパは巣から出て水中へ。その際、ピューパのシャックと体との間に溜めたガスの浮力によって水面に向かって上昇。そして、水面に達すると、シャックが割れて成虫の体が水面上に出て羽化します。
この、羽化のために巣から出てきたピューパをフライフィッシング用語では、イマージングピューパといいます。
このピューパの羽化行動がスムーズに終わればいいのですが、浮上するためのガスが足らなかったり、水面へ達したのにシャックが割れない。等々、様々な要因で、羽化出来ずに溺れ死んでしまう個体が多く発生します。これがスティルボーンです。スティルボーンは、水面直下から水中を流下してトラウトなどに捕食される。



No.201 水生昆虫とは川虫のこと

A rock is necessary for the aquatic life.

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かつて、川の早瀬には大石がゴロゴロあって白い波しぶきがはじけ、底なしのような深い大淵もあった。
それがどうだ、いつのまにか大石はどこかへ消え、水もろくに流れてこなくなった。小砂利ばかりになった平ッ川に魚はもちろんのこと水生生物全体の顔ぶれはスカスカ。あるのは、「川をきれいにしよう」という看板ばかり。
川の瀬にある石ころ。たかが石ころだ、あろうとなかろうとどうでもいいのか?
そうはいかない、例えば、メロン大の石一つにも数10種、個体数なら数10いや100近い水生昆虫(生物)が棲んでいるのだ。これはもう一つの町であり惑星ともいえるかもしれない。
川といえば、まず魚の話ばかりが出る。しかし、川は、まず水が流れてそこに石があることが重要。この石が大量に積み重なって初めて宇宙空間のような深遠な生態系が構築されるわけだ。水と石がなければ、水生昆虫(生物)が生息出来ず、魚も育たない。
川の潜在的生命力は水だけでなく石にある。ある水生昆虫は、石表面に生える付着藻類を食べ、ある種は流れてきた落葉を食べる。当然、肉食のライオンに匹敵するような恐ろしい捕食生物もおり、ハイエナ役の生物もいる。そう、ちょうどアフリカのサバンナと同じような食物連鎖がこの石一つに存在している。
元をたどれば、大地から生えた樹木の落葉がヒラリと流れに落ちたことから始まる川の食物連鎖。それはやがて海へ至り7つの海を巡り、結局、我々人類の口に帰ってくる。
石たかが石。その石が無くなっている。近年日ごとに川の石が消えていくのはなぜでしょうか。小石や砂ばかりでは、川虫は棲めず、魚の隠れ場所もない。
ちょっと今度の日曜日、川へ行ってみませんか。川に水は流れていますか?石はありますでしょうか?


No.202

Mayfly Nymph Epeorus curvatulus Matsumura

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カゲロウ幼虫の特徴は、腹部にエラがあること(薄い木の葉状に見えるのがエラ)尾は2本の種も3本の種もいる。

写真はウエノヒラタカゲロウ幼虫。
日本各地の山地流から平地渓流の早瀬に生息するヒラタカゲロウ科の幼虫。
体長は最大14mm。


No.203

Mayfly Epeorus curvatulus Matsumura male dun

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カゲロウの仲間には、幼虫と成虫の間に亜成虫(Dun)という独特のステージがある。それは成虫にはよく似ているがまだ成虫ではなくもう一度脱皮して初めて成虫になる。この状態の時は、翅は不透明で厚みがあり、体全体も柔らかい。
ウエノヒラタカゲロウ亜成虫♂。
体長14mm。


No.204

Mayfly Epeorus curvatulus Matsumura male spinner

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これがウエノヒラタカゲロウ成虫。翅は薄く透明になり、オスでは複眼が特に大きくなり目立つ。成虫になったオスは、夕暮れの頃、スウォーミング(群飛行動)をしてメスと出会い交尾に至る。


No.205

Caddis Larva Goerodes sp.

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トビケラの幼虫は、ちょうどミノ虫のように自分で作ったケースに入って暮らす種類も多い。ケースの素材は、落葉から、砂粒、木の枝などが使われその形は種によって様々。
写真はコカクツツトビケラ幼虫。
落葉を四角く切ってパッチワークしたケースに入っている。この種も生まれて間もない頃は微少な砂粒でケースを作る時期がある。
ケース長は12mm


No.206

Caddis Larva Rhyacophila sp.

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一方、ケースを持たないトビケラの幼虫もおり、特にこのナガレトビケラの仲間は肉食性で巣も作らず這い回って暮らす。
写真の幼虫はムナグロナガレトビケラでエメラルドグリーンの体が美しい。
体長は18mm。


No.207

Caddis Eubasilissa regina(McLachlan)

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トビケラの成虫は、蛾によく似ている。実際、祖先は同じ仲間から別れたといわれている。しかし、蛾と違ってトビケラの翅には鱗粉はなくて毛が生えている。
写真は、ムラサキトビケラ。日本に生息する普通種だが世界最大種だといわれている。
全長44mm。


No.208

Caddis Goera japonica Banks

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ニンギョウトビケラ成虫のクローズアップ。たくさんの毛が生えているのがわかる。このトビケラは日本全国の河川緩流部に広く生息しており、幼虫は砂粒で作ったケースに入っている。
全長13mm。


No.209

Stone fly nymph Kamimuria tibialis (Pictet)

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カワゲラ幼虫。カワゲラ目の幼虫は、エラがある種もあり、無い種もある。しかし、エラがあっても決してカゲロウのように腹部には無い。エラがある種は、肛門、各肢の付け根、首などにある。エラの形状は、この種ではフサ毛状。他には指状とかもある。尾は必ず2本である。

カワゲラ属のカワゲラという名前の幼虫。ちょうどヒラタカゲロウの幼虫を食べようとしている。日本各地の渓流でもっとも普通に見られる中型のカワゲラである。
体長は22mm。


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