ウイングマーカーのセッティング

ウイングマーカーのセッティング
ウイングマーカー(以下略称 WM)のセッティング

○まず、写真のような方向からWMのスリーブにティペットを通し、付属のペグを先端から刺して固定。それから、フライを結んで下さい。
WMには、使うべき方向があり、逆に付けると、使用出来ません。使う時は、必ず向きを正しく合わせて下さい。写真参照!
フライを結んだら、釣り方やフライの性能に合わせて、フライとWMとの間隔を調整して下さい。
その間隔が、ヒットへの一番重要なカギとなります。
付属のペグが紛失した場合は、エビ串(細い竹串)を4.5〜5ミリぐらいにカットしてお使い下さい。 エビ串は、ホームセンターなどの台所関係売り場にあり、ネットで検索しても購入出来ます。もし見つからない場合は、竹ヨウジも微妙に太くなりますが使えます。更に太めながら、いわゆる竹串も使えますし、ヨウジも使える。 エビ串などには、あらかじめヘッドセメントやファイバートップコートなどを塗っておけば、長持ちして使いやすくなります、

○ティペットはフロロカーボンを使って下さい。フロロは、ナイロン製よりも比重があるので水になじみやすいし、間違いなく強い。私は、現在「トラウトハンター フロロティペット」を使用。

●ドライフライや水面がらみフライ近くのティペットが水面上に浮いていると、水の表面張力から光干渉が目立ってトラウトに警戒される場合があります。対策としては、ティペットにフロータントを着けないように注意しましょう。

使い方ー2「フロータント」
WMは、使用前にフロータントを付けて下さい。サラッとしたCDC対応型の部分着けが出来るチューブ入りがお勧めです。
ただし、高く浮くことが目的ではありません。ライズを取るためのアイテムです。ヤーンに丸ごとフロータントを付けるよりも、上半分だけに付けるぐらいで十分、目的とする機能が果たせればいいのです。
むしろ、WMの浮力は低い方が、トラウトの食い込みが良く、フライを食わえている時間も長くなります。
フロータントを使う場合、ティペットまで全てに降りかかるようなスプレータイプは厳禁。
特に小さなフライを扱う際には、指に着いたわずかなフロータントでティペットが沈まなくなりがち。ファーストキャスト時、特にご注意下さい。
現在、もっともお勧めのフロータントは、CDCオイル。
○WMは、忍び者。
あくまで、トラウトに警戒させないで働くのが身上。「浮き過ぎず、秘めやかに最高の目的を果たす」のが重要。



ドリフティング釣法

トラウトがライズしてくれればよいのですが、ドリフターが流下していても水面へのライズをしないトラウトがいる。アメリカでの研究では、稚魚時代は別として、ほぼ一生ライズをしないで水面下だけで捕食しているトラウトが過半数以上いるといわれている。
ドリフターが無いときのトラウトは、ほぼ仮眠状態に近い「低活性」で低層に定位している。そこへドリフターが増えてくると一気に活性が高まってアクティブになり、水中捕食(水中ライズ)したり、水面まで上昇していわゆるライズしたりするわけです。
この水中ライズを釣るのが、ドリフティング釣法。
水面下表層から中層を流下する(水中ドリフター)にマッチするフライを水中ドリフトして釣るわけです。ですから、ただ低層にニンフを転がすようなニンフィングやルースニングとはまったく違う発想で釣るわけです。
フライを、水中ドリフトするために、スイベル(サルカン)をシンカーに使います。
本流系などでは、WMのLサイズを使い、スイベルは、#5(0.3g)〜#6(0.2g)が最適。HPローリングスイベルやステンサルカンが使いやすいでしょう。


ウイングマーカーの使い方 その一

この写真のRICAとは ウイングマーカー(WM)の旧バージョンの名称ですのでWMと御理解下さい

半沈みやドライフライに対してウイングマーカー(以下WM)を使う場合、その間隔は60〜180cmにして下さい。

ドライ系フライとWMの間隔が短い場合、相互干渉して、フライにドラッグが発生する場合がある。
この相互干渉は、フライサイズとティペットの太さ・浮き具合等で、何センチで起こるとか、何センチで防げるとか一概には言えない。けれども、フライとWMとの間隔をより大きくとることで簡単に防ぐことが出来ます。

なお、フライを水面下に沈めて使う場合は、フライとWMとの間隔は、数センチから1ヒロでも任意で使えます。この場合、フライとWMの間隔(タナ)がヒットへのカギとなるので、反応が思わしくない場合は、フライ交換の前に、タナを20センチぐらいずつ上下してみて下さい。
特に、プールや止水管釣りなのではこのタナが重要となります。



ウイングマーカーの使い方。その2


キャプションの「RICA」と書いてあるところは、「WM」ウイングマーカーと解釈して下さい。



フライが水中にある場合のキャスト&ドリフト


・キャストDは、ライズに対してダウンからダウンクロスのキャスト。
この場合、トラウトがフライを口にしても、マーカーは、そのまま流れ下ってティペットが緩む。その為、ヒットの瞬間はマーカーに反応が出にくい。
ただし、トラウトの目先にイマージャーを送り込んで、鼻先で浮上させるなどのテクニックを使う手はある。この際は、マーカーの微浮力がトラウトの食い込みをより良くする作用が期待出来る。

・キャストEは、ライズに対してアップからアップクロスへのキャスト。
この場合、マーカーからフライのティペットには常に微テンションがかかり続ける。
その為、ヒットがあれば即マーカーに動きが出る。
沈みフライに対しての理想的なマーカーの使い方。
この際、澄みきった水質や緩流部で、ウイングマーカーがトラウトの視界に入っても、警戒させるような事はありません。ウイングマーカーの材質、無蛍光な色彩が自然な存在感を持っているからです。



ドライフライ・サーフェイスイマージャーのキャスト&ドリフト

(A)は、ダウンからダウンクロスのキャスト。
ドライフライ〜半沈み系フライを使う場合の理想的キャスト&ドリフト

(B)は、サイドからのクロスキャスト。
フライは、トラウトのフィッシュウインドウ左側面へドリフトさせる。この際、右カーブをリーダーにかけるのが理想。
ドリフトさせるべきレーンへ確実にフライを載せて、ティペットからリーダーにはスラックを入れて、ドラッグを避けるのが重要。

(C)は、アップストリームキャストでの失敗例。
ライズしているトラウトに対しては、フライより先にWMを見せない方が良い。 アップストリームキャストでも、フライをライズレーンに載せるかその手前ギリギリぐらいにドリフトする。

◎イブニングの決め手
イブニングライズを釣るとき、ウイングマーカーを使うと非常に効果的です。
通常なら見えないようなカディスイマージャーフライやスペントスピナーフライが視認出来ることはもちろんですが、通常のドライフライでも、リーダーの沈み込みを防げるので結局フライが沈みにくくなる。また、パターンを問わずフッキング率が向上するという、二次的な効果もよく起こります。これは、WMのほど良い浮力による微妙なテンションがフッキングへの良い方向に作用していると思われる。
また、フィシングプレッシャーの高まっているライザーの場合、ポトンと重い着水波紋を嫌がる傾向がある。それが、WMの空力抵抗でフライのソフト着水が楽に出来ることも、大きなメリットになっている。


フタバコカゲロウトラップドイマージャー(キャプティブバージョン)

フタバコカゲロウは、「水中羽化」でいわゆるコカゲロウ系とは、羽化方法がまるで違う。その為うっかりするとたいへん難しい釣りになりかねません。このフライは、フタバコカゲロウイマージャーが、羽化に失敗して、シャックが脱げないまま半沈み、水面直下から水中を流下してくる所をイメージしたフライ。
だから、このフライを半沈みに使うとき、ウイングだけにフロータントを塗れば、とてもリアルな水面直下に張りつき状態になります。また、沈めるとよく釣れますが高度なフライフィッシングになります。
そこでもっとも効果的なのは、ウイングマーカーを使ってドリフティングすることです。
フックは、TMC206#18~20。シャックは、ヴェインファイバーダークシャックかシナモン。アブドメンは、トラウトハンターグースバイオット、Tannish YellowまたはSulphur Orange。ウイングは、ヴェインファイバーのダークダンをV字バックウイング形状に取り付ける。ソラックスは、スレッドそのままかイエロー系のヘアーズイアまたは相当のダビングマテリアルで。


4月18日静岡県狩野川のライズ


鏡のようにフラットなプールでライズしていたヤマメは、ドリフターや現場検証から、プールへの落ち込みで発生したサンクン(水面直下から水面下に沈んだドリフター)と判断され、しかも、より効果的に釣れそうなのはヒラタのサンクンイマージャーあたりだと考えました。それで、トロトロ流れのプールであることでもあり、ティペットは、フロロカーボンの8Xを使い、フライとMWの間隔は20cm。使用前にフライはよく水中で揉んで、着水後すぐ水になじむようにし向けた。
このMWとフライとの間隔、20cmは、結果的データ。実は、最初40cmで、キャストしたのにまったく反応無し。ライズ形態をよく見ると、垂直浮上してきて、水面付近の何かを捕食し即回転して垂直潜行していた。通常なら、水面付近に定位してライズするところをかなり警戒しており、姿を見せないでライズしていた。
その為、逆に水面付近だけに注目しているのではないかと考えて、水面直下から水面付近の浅めにフライを漂わせるよう間隔20cmでやってみたところ、すぐにヤマメが反応してきた。
ここでも、MW使用法の原則どおり、浮いたフライは出来る限り間隔を長く取り、沈めるフライは、間隔を短く取るというのが正解でした。



あると便利な「マユクシ」

これはマユクシ・・・っていうのでしょうか?女性が眉に使うクシです。
クシの反対側にはブラシがついており、マユブラシとも呼ぶようです。このマユクシを何に使うかというと、ウイングマーカーのヘアーが絡まったりした時に、これを使ってとかすとウイングマーカーは復活するのです。
釣りが終わったら、WMはこれで毛並みを整えておきましょう。
どうでも良いようですが、やはり、ウイングマーカーのヘアーはきれいにそろっている方が着水バランスや空力抵抗などにとって都合がよいのです。
写真のタイプは、資生堂製で、ブラシの部分は、抜いてしまって、その代わりに、マジックテープの荒い方を両面テープで貼ってあります。このマジックテープは、フライボディを毛羽立たせる時などに使える。
なお、100円ショップにも、マユクシはそろっています。


ウイングマーカーデータ

2007年12月21日和歌山県日置川アマゴ生態調査区間
午前中から、ライズは、広いプール全域で多数あった。ネイブルコカゲロウやジェイコカゲロウ、ユスリカのハッチはあったものの、ダンやイマージャーなどのドリフター量は非常に少なかった。
結局、ライズ回数とドリフター内容から、ほとんどのライズは、シャックに対するものと判断。
その中で、16時頃、15メートルほど下流でライズにキャストすると、16時15分、23cmのアマゴがヒットした。

ヒットデータ。
ウイングマーカーULM-M(ウルマー色Mサイズ)を、フロロティペット0.25号で、RCとの間隔を30cmにしてダウンクロスにキャスト。
フライは、ミッジシャック#20。