2018年08月28日(火)

恐ろしき・・・


ゾンビ映画が流行った時期があった。死んだ人間が動き回る・・・まあ幽霊モドキの・・・と。当時は大して気にもとめていなかった。その元のアイデアは、古代宗教系の自発的な意志を奪われたような存在のことらしい。このエゾハルゼミは、今にも飛び出すような瞬間の写真である。しかし、このセミは動かない。 体内がすべて真っ白な菌糸に埋め尽くされて死んでいる。
これはフキバッタで、渓流の脇でよく見かける。この2頭、背の高い草に登っているがもう動かない存在。 菌に冒されたバッタは、エサを食べるとか、逃げるとか、交尾するとかのバッタらしい行動をとらなくなり、ある日、背の高い植物に登らされて、しっかりとその茎にしがみつかせられ動かなくなる。その後、この高みにセットされたバッタからは、その寄生菌の胞子がバラまかれるのだ。普通病気にかかったバッタは、動きが鈍って肢の動きが悪くなり、植物に登るなどというのは難しくなり、地上でヒクヒクして死んでしまう。 ところが、このタイプの菌に冒された昆虫は、菌の胞子をバラまきやすくするために、高い所に登らされてしまう。たかが菌類なのに、セミやバッタの脳にどのような作用をしたものだろうか。ひょっとしたら、自分もこの時その菌を吸いこんでしまったのかも知れないと思うと・・・けれども、高い岩場などを「へつる」とヒザがガクガクするほど怖いので、まだしばらくは大丈夫らしい。