2016年10月04日(火)

洪水の後


このところ岩手県釜石市に出張中。ここでは、去る8月16日の夜に豪雨。それからは、何度も大雨が来てずっと川は増水状態。そして、8月30日に台風が来てたいへんな豪雨。 釜石市でも、各地で、大きな水害が発生して、今だに、通行止めになっている県道もある。 今滞在しているすぐそばにも、甲子川が流れており、30日夜には氾濫しかかったところもあったと聞く。 すぐ近くに発生した護岸の崩壊現場に行ってみると、コンクリートブロックで作られた護岸がベロリとはがれてすぐ下流にひっくり返っていた。さも頑丈そうなコンクリート護岸なのに、強い流れによって根本を掘られるとかなり弱い構造。実は、こんな被害状況は、各地の川を回っているとかなり珍しくない水害なのである。ここで注目すべきは、この上流側の河川環境。それが、2番目の写真。治水のために工事を行ったはずなのに、川から岩石や大石、岩を除去して、川底を平らにする河川改修工事を行っている。この直線的な護岸から発生した急流がちょうどぶつかる地点が、今回の護岸崩壊現場になっている。川の水を出来るだけ早く下流へ流してしまおうという発想で作られるこの河川改修工事は、滝のごとく一気に流した水流が、下流で水位を急増させたり、護岸を傷める結果を招く。だから下流ではもっと高くて頑丈な堤防を作らねば氾濫を防げなくなる河川改修の連鎖を招いている。 しかも、写真を見ればわかる様に、平時に浅く変化の乏しい流れは、魚や水生生物がたいへん棲みにくい環境になってもいる。そのうえ、人も動物も立ち入れないような河川構造にして、しかも、水害を引き起こす原因になっては・・・。ともあれ、このような河川改修がされている川の近くに暮らす方々は、非常時に避難をためらうことの無いように願います。