2011年10月25日(火)

ダムは大水害をもたらす


日常的に川で仕事をする者にとって何が恐ろしいかというとダムの存在である。それは、天候や下流に人がいるかなど関係なく突然水を放流するからである。
もちろん大きな放流をするときにはサイレンが鳴ったり広報車が回る。まあそれも、川の水音で聞こえないことも多い。また、20〜30㎝程度の放水の場合だと何も下流に知らせないことが多く、私などは実際恐ろしい目に何度も遭っている。
深い川に立ち込んでいると、たとえ20㎝の水位上昇でも、人は簡単に流されてしまうのだ。
まあそれでも、世のため人のためにダムがあるのなら仕方がないかと・・・思いがちである。ダムを作るときの殺し文句は「洪水を防ぐ」。この一言で国民は信じて安心する。ところが、これは嘘である。
なぜなら、ダムは構造上満水になると崩壊の危険が高まるので水位を下げるために放水をする。その時、下流でどれほどの洪水になっていようがお構いなしなのである。
ごく最近の例では、2011年の7月末に新潟県の大谷ダム他が大増水のさなかに放流をして堤防が破壊され、1万人以上が避難した。
また、よく知られたところでは、2005年の広島県太田川で、台風14号の豪雨で大水害になった。その洪水警報の最中、上流の温井ダムが放流している。
そして、2011年10月タイ国の大水害である。これも、上流にあるいくつものダムが一斉に放流して史上希に見る大水害を起こしている。
だからといって、関東平野に住んでいる自分も無縁な話ではない。
例の群馬県八ッ場ダムは、関東一円や首都圏の水害を防ぐ切り札のように報道されている。しかし、本当に大雨が降って利根川、荒川が増水し八ッ場ダムが満水になったら、放水してくるだろう。もしダムが崩壊したらそれこそ言葉にいえないほどの大水害になる・・・このダム崩壊も人事ではなくアメリカを始めとしていくつもの国で実際起こっている。
それこそまた関係者だけが「想定外」と言い訳するようなの大水害が発生する可能性がある・・・全然想定外ではないのだが。
また、八ッ場ダムの水を水道として使うなどとも言っているが、ダム上流にはヒ素や強酸性水の流れる支流があり、毎日60トンの石灰を混入しなければならないほどの悪水に大金をかけて飲まされるとはいったいどういうことだろうか。いや、簡単な話、ダムを作らなければよいのだ。原発と同じく。