2010年01月12日(火)

消えゆく川音 その1


2010年元旦は、我が郷里静岡県森町で迎えた。

この森町を流れる太田川にダムが完成・・・というので見に行ってみた。

ダムは、かつて私がよくアメノウオ(アマゴ)釣りに行っていたあたりの渓谷に出来ており、その変貌ぶりに愕然。

このダムを造った目的は、「洪水の被害を防ぎ、いつも水のあるうるおいのある川にする」などと展望台看板に書いてある。

まあそれを読むと、ムッとする。2005年の台風14号では、広島県の太田川流域(奇しくも同名の川)で300棟以上の家屋が床上浸水する大水害が発生したじゃないか。なんとこの時、集中豪雨で洪水になったピークに、ダムが放流して水位を上げた。

ダムというものは、構造上満水になったら放流するしかない。当然その時は、大洪水の真っ最中。結局、ダムは「小さな洪水を防いで、大水害をもたらす!!!」

・・・そうそう、ダムの崩壊も世界中で起こっている。

この静岡県太田川ダムは、東海地震の心配なエリア。その上、「工事中に左岸山腹の一部がズレてきたとか、提体に130カ所もひび割れが発生した」とかの報道があり心配ネタは尽きない。

・・・と111日の朝日新聞を見て驚いた。

「磯焼け 魚も消えた」という嫌な見出し。その内容は、駿河湾西側の藻場が磯焼けで消滅し、魚や、サガラメという海草、アワビなどが採れなくなった。その原因は不明という。

もちろん磯焼けの原因は、シンプルではない。けれども、山から川を経て海にもたらされるミネラルが不足すると、植物プランクトンが減り、海草・海藻の成長が妨げられ、磯焼けになることはよく知られていること。

その磯焼けが発生している駿河湾の西側エリアには大井川があり、本来なら、南アルプスを含む広大な山々から豊富なミネラルが供給されるはず。だが、現実には、大井川には現在15のダムがあり、大井川から海洋生物に繋がる食物連鎖は、完全に分断されている。

山からの栄養分は、行き場を失い。ダムの底に沈んで、ヘドロになるしかない。

これはダムだけの話ではない。干潟の出来る汽水域の干拓事業、河口堰など、いずれも川の食物連鎖機能を失わせ、海洋生物を滅ぼしている。

まったくダムというヤツは・・・大水害・海魚消滅・その次ぎにくるのは・・・。