2007年11月25日(日)

サケ帰る


2007年11月24日。
群馬県の渡良瀬川へ水生昆虫チェック。
この秋の相次ぐ大増水で、川底はすっかりきれいに洗い流され水も澄みきっている。
2007年関東地方の水生昆虫事情は、非常に悪かった。2006年末の大雨による大増水の影響で、本来、冬の間ずっと豊富にあるはずの川に沈んだ落葉が、すべて流されたからだ。
冬、陸生昆虫なら冬眠するところだが、水生昆虫は、落葉由来の豊富なエサと、落葉にカバーされた安全な住みかでどんどん成長する。
水生昆虫が少ないということは、魚のエサが少ないということだけではなく、昆虫食の多い鳥類へ。さらにそこから・・・食物連鎖への影響は計り知れない。
つまり、山から海へもたらされる栄養分も、非常に少なかったということにもなる。この辺の話は難しいけれども、落葉をそのまま海に放り込んでもただのゴミ状態。
山や河川内で落葉が様々な生物に分解されてその結果としての栄養塩として海にもたらされなくては海の生物への食物連鎖がスムースに繋がっていかないというような話。
・・・と見れば、川底に大きな魚が沈んでいる。
そのつもりで見回すと、流心部の底にも、白い大きな魚体が2匹沈んでいた。それから、下流の瀬に向かおうとすると、右岸の際から数匹の大型魚がササッと沖へ走る。まだ、元気な連中もいる。
関東でも、利根川などでは、この季節かなりの鮭の魚影を見ることが出来る。
それ自体は喜ばしい。しかし、稚魚放流してそれが帰ってきた・・・それだけでは、悲しい。
やっぱり自然産卵して、それが孵化して川を下り、また帰ってくる。それが河川環境の指標として大きな意味を持つ。
それには、ポーズだけでは形にならない総合的な河川環境への配慮ってやつが必要になってくる。環境というとつい無力感にさいなまれますが、とりあえず、鮭の密漁をしないということだけでもかなり違うのだけれど・・・。
遡上鮭の群れが、いつの間にかオスばかりという有様をよく見かけるのです。